苫小牧沖に停泊中の船上で撮った、チリから来た津波

はるか沖から、黒い帯状のものが海面を這うように近づいてくるのが見えたときは、船は安全と知らされていても、流石にドキッとした。
13:45動画撮影を開始し、船の真下を通過したのが13:48だった。この2、3時間ほど後で、「苫小牧の港で津波到達が観測されました」とのニュース。津波は「私がチリから来た者です」と名札をつけているわけではないが、時間的にも符合するので、これが津波だったことは確かだと思う。
最初目に入ったときは、↑の動画でお分かりのごとくあまりにスピードが遅いので、「ただの波か」とも思った。旅客機なみの速度で進むと聞いていたから。しかし、風などによる波なら、前後に続く波動があるし、船が蹴立ててできる蹴波なら、あんなにまっすぐではない。だいいち、津波警報大津波警報が出ていたあの海域で、あんな大規模な蹴波が生じるような速度で航行する船は、あの時間にはよもや一隻もなかったに違いない。
津波も太平洋を進むうちに段々速度を遅くしていくのだろう。
そんなわけで、津波を目撃できたのだと信じている。

これから先、津波が起こるような地震に遭遇することはあっても、陸にいたら、「海岸沿いへ行くのは、危険ですからやめてください」と言われる。
苫小牧到着が何時間も遅れて、行くつもりにしていた襟裳岬には行けなくなったが、ちっともかまわない。襟裳岬は逃げない。経験しようと願っても叶わない貴重な経験ができた。