サモアの激震を憂う

先月末、西サモアウポル島南方沖でM8.0の地震が起き、それからまもなく、スマトラ島でも巨大地震が発生と報道された。
環太平洋が地震の巣であることは先刻承知であるが、このごろは天災が忘れないうちにやってくる。他人事とは思えず、心配だ。

ことに、西サモアは、1992年に一度だけ観光で行ったことがある。フィジーの知り合いを訪ねていったついでに、寄った。短い滞在だったが、「ココナツ・ビーチクラブ」というコテッジタイプのホテルに泊まって、大げさでなく楽園気分を堪能した記憶が今も鮮明だ。
スキンダイビングの適地も多く、エアシリンダーなしで、急峻なドロップオフを楽しめた。さながら海底の断崖で、底が一気に見えなくなって落ち込んでいく様に感じた恐怖感を覚えている。

それから十数年も経った。一度もサモアを再訪できないでいる私に、そのホテルはずっと手紙を出し続けてくれている。「手紙」といっても、泊まったことのある客全員に出しているパンフ的な通信だから、申し訳なく思う必要はないのだろうが、なかなか出来ないことだと思う。もちろんeメールでなく、切手を貼って出してくれるレターである。「悠久」の語が似合いそうな楽園ながら、それでもわずかずつ町やビーチが変わっていく様や、そのホテルの新企画を、ユーモアを随所に配した文章で知らせてくれていた。

海沿いの多くの集落が壊滅したあの島で、かの「楽園」も地獄の沙汰を嘗めたのではないかと気がかりだが、何もしてあげられない。