韓国に新登場のヌリロ号

もう1年前になるのだが、韓国のソウル近郊に「누리로号」という電車が導入された。私は、今回の訪韓で初めて知った。
韓国は、公共の陸上輸送の主力を、アジアの多くの国同様、バスが担っている。鉄道は、車体のモデルチェンジはないも同然(わずかなマイナーチェンジだけ。塗装の色も何十年と変わらない)で、日本のような、運行区間ごとに異なる愛称も付けられておらず、また記念切符も発行しているのかもしれないが、その宣伝ポスターとか見たこともない。よって、鉄道に乗る楽しみ・撮る楽しみ、鉄道にまつわる趣味は育ちにくく、結果として“鉄道ファン”はきわめて少ない、というのが、知り合いの韓国人との間でもずっとコンセンサスであった。

それがここへ来て、伝統的な「セマウル」と「ムグンファ」、2004年デビューの「KTX」に加え、もう1つの新顔が出たわけだ。
そのヌリロ号、ムグンファより停車駅は多い。現在は、ソウル−신창間しか走っておらず、しかも2時間に1往復程度とまばらだが、好評ならば増えていくだろう。
位置づけとしては、世界遺産のある水原や、独立運動の聖地天安、温泉のある牙山などへソウルから出かけるのに便宜を図った形だ。また、水原や永登浦などから長距離列車に乗る人のための、日本で言う「リレー号」的な役割も担っているかもしれない。

全車自由席でのんびり走っていた「統一통일号」が10年ほど前に全廃され、寂しく思っていたので、こうして列車種別が増えることは、一利用者としても歓迎だ。しかも、高速化にともない見捨てられがちな小都市にも便利な列車の新設ということで、JRなどよりずっと配慮に富んだ改正だと思う。

また、韓国の通勤電車には長らく各駅停車しかなかったが、ソウル地下鉄1号線とおよびその乗り入れ区間に、「急行급헹」(日本の快速にあたる。急行料金不要)ができたのが5〜6年前だったと思う。今では、さらに、停車駅の数がより少ないタイプの急行も走る。いわば韓国版「新快速」である。
また、日本のイベント列車を参考にしたと思しき観光列車「ヘラン号」も人気のようで、これは日本のTV番組「世界の車窓」でも映されたので、ご覧になったかたも多いだろう。


こうした、鉄道公社側が列車バラエティを増やす方向に大きく舵を切ったことをうけてか、鉄道ファンっぽい報告も、ネット上で見られるようになってきた。
次のブログを読むと、くだんのヌリロ号をなかなか詳しく取材している。隣国にも、鉄ちゃんが立派に(?)育ちつつある気配を感じたので、リンクさせてもらった。

http://blog.naver.com/yonugoo/30051633575