日本の15、16番目の世界遺産

小笠原諸島と平泉が世界遺産に登録される見通しとなった。
 どちらも貴重な遺産であるが、特に平泉の、2008年登録延期以来の雪辱は特に嬉しく思う。よそごとながら、日本のどこかが世界遺産選定されたというニュースでこれくらい嬉しかったことは、かつてなかった気がする。
しかも、芭蕉金色堂を訪れたことを回想して詠んだ「五月雨の降り残してや光堂」の季語にちなむ初夏に決定した。
 岩手県でも被災のひどかった東部の人の中には「嬉しいが、生活のことを考えるとそれどころではないのも確か」といった意見もあるようだから、遠くにいて過度にはしゃぐのは控えたいが、それでも、復興の一助になるのは間違いないだろう。
のみならず、「みちのく」を世界中のツーリストに知ってもらう引き金にもなると思う。
東北は、世界文化遺産が今まで1つもなかったし、日本を代表する祭の宝庫、温泉の宝庫、また北海道と同じく雪国でありながら、海外への知名度は低い。京都の寺社にも劣らぬ大伽藍がかつて光り輝いていたことは、よほどのジャパノロジストでないと知らないだろう。
ちょうど15年前の中国雲南地震で多くの家屋が倒壊した麗江も、地震の翌年に世界遺産に登録されたことで、復興に弾みがつき、今は世界的観光地としてよみがえっている。張芸謀監督の『単騎、千里を走る』のロケ地にもなった。
中尊寺自体は地震で壊滅したわけではないが、平泉にも同様の効果があることを祈願し、おめでとうと申し上げたい。