非核会議の場でさえ信頼低下の日本

5年にたった1度の核不拡散条約再検討会議が、最終文書案を採択できず、という惨憺たる幕切れに。
元々締結の時から、既得権温存のためのご都合主義条約と言われながらも、 「これ以上は、どの国も核を持つな。その代わり、既に持った側は核軍縮に責任をもつ」という趣旨だったからこそ、百九十ヵ国に締約国が広がったのではないか? それを「核兵器禁止条約」の文言を外せと譲らなかった保有国は、この条約の存在意義を否定しているに等しい。
核なき世界へ意欲を示してノーベル平和賞を受けておきながら、中東非核地帯構想を台なしにしたオバマ背信により、次の会合(20年)までには核保有国数が2桁になっても不思議ではない。イスラエルという条約「非」加盟国に気遣って、採択をぶち壊すなど聞いたことがない。
保有など到底叶わない多数の締約国や軍隊放棄の「自主」憲法を定めた国々と、既得権益を露骨に守ろうとする五大国との亀裂を日本に埋めて欲しい、との期待は、我々が思っている以上に大きい筈なのに、「核は段階的に削減を」と、ここでも対米従属。非核国は呆れていよう。「なんだ! やっぱり核の傘は有難がった上での、“唯一の被爆国” ヅラかよ」と。
中東諸国・イスラム諸国に好感を持たれていた日本は、テロリストへの挑発まがいの安倍首相発言等々で信用を失くしつつある。今回はNPTの欺瞞性をわずかでも払拭して、名誉挽回するチャンスだっただけに残念だ。