ソニーよ どうした

10年前に、こんなアンケートが日経新聞に載った(99.2.16付朝刊)。都内に住むビジネスマンと、首都圏に住む一般個人に
「今後10年で飛躍的に伸びる企業」はどこだと思うか
を尋ねたものである(日本経済新聞社実施)。

結果は、

■ビジネスマンの部
1位 ソニー
2  NTTデータ通信
3  スカイパーフェクTV
4  NTTドコモ
5  セコム
6  インテル
6  シティバンク
8  ソニー・コンピュータエンタテインメント
9  マイクロソフト
10  ソニー・ミュージックエンタテインメント

■一般個人の部
1位 セコム
2  NTTデータ通信
3  ソニー・コンピュータエンタテインメント
4  アートネイチャー
5  ソニー
6  アデランス
7  NTT国際通信
8  WOWOW
8  スカイパーフェクTV
10  NTTドコモ


調査の時代が、ITバブルの少し前(2001年ごろ)とあって、コンテンツや通信関連の企業がほとんどを占める。興味深いことは、一般個人の回答には、かつら・増毛の会社が2社入っているのに、ビジネスマンは10位までに1社も入れていないこと。
そして、ソニーとセコムが、一般個人とビジネスマンで、ちょうど、順位を1位⇔5位で入れ換えた形で、ランクインしている。
これらのことから、実際に10年経った今から見ると、おおむね、一般個人の予測のほうがビジネスマンのより正確だったと言えそうだ。

この調査時に株価が5桁だった(翌2000年に33900円の上場来高値)あのソニーが、「ソニーショック(2003年)」を経て、現在に至るその凋落ぶりには、わずか10年なのに今昔の感がある。「飛躍的に伸びる」とは正反対の結果になった。ソニーの系列会社も10位以内に入っていたが、やはり今はぱっとしない。
「投資の世界では10年前も縄文時代も同じ」とはよく言ったものだ。


一ユーザーとしても、昨今のソニー製品には全く感心しない。
おととし買ったデジカメ、今年買ったポータブルテレコ、ともに1年経たないうちに故障して修理に出した。ソニーのメーカーとしての質は地に落ちたのだろうか。
それとも、プレステやブルーレイ・ディスクのような儲け幅の大きい商品以外は、シャープのようにすぐ壊れるものを売って、早く買い換えさせる経営方針に鞍替えしたのだろうか。

どちらにせよ、前身の東通工時代、戦後まもなく国産初のテープレコーダーを製作し、40年ほど前には家庭用オープンリール・テープレコーダー「サーボマチックF1」(筆者のうちで購入したそれは、10年近い酷使に耐えて、一度も故障しなかった)を世に問うた頃のソニーはどこへ行ったのだろうか。そこまで遡らなくても、1980年ごろ買った録音機能付きウォークマンだって、永く活躍してくれ、30年近くたった今もラジオ聴取とテープ再生だけなら、動作するというのに。
ソニーファンだった自分としては残念なことながら、失望せざるを得ない。