菅次期総理への危惧

菅直人政権が誕生する。
二世議員でないというのがウリのようだ。
市民運動出身でもあり、薬害エイズ問題の時に、製薬会社の権益を守るために厚生省が隠していた文書を暴露し、被害者救済に大役を果たしたイメージが強く、そのようなリーダーシップを、と期待する声が大きいのは理解できる。
しかし、市民の権利の拡大にせよ、エイズ問題にせよ、敵がはっきりしている闘いでは強みを発揮するかもしれないが、沖縄基地問題にせよ、不況対策にせよ、そう単純にやっつけるべき相手が措定されているものではない。
とりあえず、「小沢色」ないし「小沢的手法の信奉者」を排除して、支持率をある程度回復するとは思うが、小沢とて、同じ党の人間である。「敵」とは言い切れない。菅氏が首相の器かどうかは、まだまだ注視しなければわからない。
市民運動出身の人権派、というと、前の韓国のノムヒョン大統領を思い出す。政界につてがあったわけでもなく、苦学して権力を手に入れたが、財政・経済政策で蹉跌を味わい、最後は自殺したとされる。
菅氏が、財政再建を急ぎすぎると、リーマンショックから何とか脱しようとしている日本経済を再び悪化させかねない。1997年に、橋本政権が犯した失敗による、悪夢の二の舞だけは避けてほしい。地下鉄サリン事件阪神淡路大震災で日本の「安全神話崩壊」が言われ経済的にも苦しんだ95年から立ち直りかけていたところへ橋本の失政で再び株価暴落となった。あの時と現況は似ているのだ。
ギリシア危機で、国債の累積が諸悪の根源であるかのようなイメージが持たれ易くなっているだけに、心配だ。