韓国の酒の容器の蓋

韓国のスーパーでのこと。
お目当ての막걸리(マッコルリ:濁酒)をセルフかごに入れ、他の品を見て回っていた。すると、買い物客の男性が「×◎□」と、私のかごを指差しながら何か言った。見知らぬ人からいきなり声をかけられて、よく聞き取れなかったのだが、막걸리を見ると、容器の口から中身の酒がしたたっていた。
もちろんキャップがしてあるので、隙間があって、そこから漏れたのだろう。よく見なければ漏れに気づかない程度の量だ。
よくあの人は、すれ違いざまに他人のセルフかごの中身の漏れまで気がついたな、と感心したのだが、いやまてよ、横にしてかごに入れてあったのを見て即座に注意してくれたことからして、韓国では、막걸리の容器はすべからく垂直に置くべし、というのが常識なんだろうか、と考えた。
だとしたら、半導体で世界一になり、車や家電、携帯で日本の製造業を追い上げ、一部は追い抜かした、今やアジアの技術大国たる国の商品にしては、お粗末なことだ。液体が漏れるからには、まして空気は開封前から容易に入れ替わっているのだろう。酸化し放題ではないのか。

インドを旅行した時に買ったガラス瓶入りの酒が、飲み残したのを、一度開けたスクリューキャップで蓋しても、キャップがゆるゆるで少しずつ漏れ出していた、ということはあった。途上国で酒を買うなら、一晩で飲みきれない時のために、うつわを準備しておくことだな、と悟った。しかし、いくらインドでも開封する前から漏れたりはしなかった。

好意的にとれば、막걸리の醗酵が進んで気体が発生し、容器が破裂するのを防ぐために、わざとすき間のあるキャップにしてあるということも考えられる。しかし、それでも、雑菌が入るほうが危ないのではないか。第一もしそういうことなら、ビールやシャンペンのように、ガラス瓶に入れてもらいたい(막걸리はたいていPETボトル入りである)。
少なくとも、漏れる虞れがある容器を意図的に使うのなら、密閉容器ではない旨をラベルに大書しておくべきだと思うのだが…。

もちろん、たまたま私の手にとったボトルが欠陥キャップであって、かつ、たまたま観察力の鋭い人とすれ違ったという可能性も排除し切れない。拙文が막걸리の蓋の専門家の方のお目に留まったら、どういう事情かご教示願いたいものだ。

なんにしても、韓国にはこんな細かいことに目くじらを立てるクレーマー(?)はいないんでしょうなー。

なお、その막걸리は、別に劣化してなくておいしく飲めました。