罵声を浴びせる相手に、その罵声を骨抜きにしてしまうネット住人たち

日本鬼子ちゃんという少女が、掲示板の世界で話題だそうだ。
ネットを使っていてもそっちの機能には疎いため、先月から始まった事なのに11月26日付けの『FRIDAY』誌に紹介されていたのを見て、今頃知った。

日本鬼子(リーベングイズ)は言うまでもなく、中国人が日本人をののしる時に使う言葉で、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』でも使われるシーンがある。ということは、日本の帝国主義者15年戦争を仕掛けたころから使われている由緒正しい(?)侮蔑語だろう。
これを「ひのもとおにこ」と読んで、そういう名前の萌えキャラを作って、中国人のネットオタクを魅了し、日本人のしたたかさを見せ付けてやろうという趣旨のことを、もっと2ちゃんねる的な表現で某ユーザーが募ったのに、画力に自信ある住人が呼応した。
ほどなく台湾では、大手マスコミもこの現象を取り上げたようだ。

原典をリンクしようかとも考えたが、
「日本鬼子ちゃん」でググルと、渦ほどヒットするので、まだ知らなかったご同輩はご自分でどうぞ。

実際、かわいい作品も多い。初めは少女をイメージして描いた人が多かったが、大人の色気を湛えた女として造形した人もいる。ただ、共通項として、般若の面を持っていること、というようなコンセンサスも形成され、いずれも、中国人の間でも評判はいい、というのが上記雑誌記事の見方である。

日本には、初音ミクとか、もっと古いところでは20年ほど前の芳賀ゆいとか、バーチャルアイドルを寄ってたかって創るというのが、文化として存在したからその延長ともとれるが、今回の試みはナショナリズムの昇華した形を考えていくヒントになっている点を評価したい。「そんなことで日中の懸案がちょっとでも解決するものか」と批判するのはたやすいが、ネット右翼の「売り言葉に買い言葉」より、
はるかに知的な、対立軸をずらす営みだと思う。

いっそ、日本人の女のコと国際結婚したがるケトウ向け「イエローモンキー娘」とか、侮蔑語キャラをシリーズ化したらどう?