延坪島연평도への砲撃

穏やかな秋だなぁ。夏の、死者を出すほどの異常気候とえらい違いだ、と思いつつ、今年最後の祝日(勤労感謝の日)を自宅でまったり過ごしていたら、ラジオで臨時ニュース。
北朝鮮が韓国を砲撃」と速報が入ったのは、3時か4時台だったと思う。
23日当日は情報が少しずつしか入って来ず、晩の報道番組でも、北の意図については、真っ向から異なる考え方があった。
例えば、軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は、「おととい21日に、北朝鮮アメリカの核専門家ヘッカーをわざわざ呼んで、ウラン濃縮技術を誇示したことと、この砲撃が関連したものかどうか」とアナウンサーから訊かれ、「核兵器開発はアメリカを交渉に引きずり出すため。しかしこの攻撃は、全く方向が逆。関連しているとは到底考えられない」と述べた。
別の番組に出演した、元外務参事官の田中均氏は、反対に、関連を有すると示唆するような発言だった。
また、伊豆見元氏の発言も、「こんな攻撃が、北にも南にも良い効果を及ぼすはずがなく、意図が分かりかねる」といった趣旨だった。
李英和関大教授は「反正日派の軍人が左遷されて反発を強めているのを抑える目的」ではないかと推測。

専門家にとっても、意味づけが困難で、180度違う解釈もあるのを聞いて、私は、もし田岡氏の考え方が正しいとすると、朝鮮人民軍が暴走したと考えられ、これは朝鮮戦争再発はもとより、日本への攻撃も含めて、どこまで事態が悪くなるか止めどがないな、と恐ろしくなった。

ところが、砲撃の前日金父子が砲弾発射地に近い軍事施設を秘密裡に訪れていたことが、24日になって報じられ、また、先月あたり2度も、金正日が訪中していたことも考え合わせ、一応、北なりに統制のとれたというか、計算した上での砲撃だった可能性が高くなった。
つまり、まもなくあとを継ぐ正恩も「先軍政治」を踏襲するから、軍部の皆さん、クーデターなんか起こさないでね、とエエカッコするために、結果的に韓国人4人を殺した(コンクリートをぶち抜くように加工され、かつ命中後に可燃性の液体を撒くように作られた砲弾だったというから、大砲に焼夷弾を併せたような物を民家に撃ったわけで、「死なせた」でなく、意図的に「殺した」と表現して構わないだろう)のだ。


それ自体許しがたい暴挙ではあるが、一応、今まで行なってきたことを越える挙に出ることは考えにくくなった。3回目の原爆実験とか、ミサイルを海に飛ばすとかいった程度の、力の誇示のとどまるのではないか。
横須賀から黄海に行っているアメリカの空母に傷をつけるようなことは、したくても、今の段階ではちょっとできまい。
あとは、オバマがどこまで無視政策を続けられるかだ。