横田めぐみさんはハン・ソネか

7日発行の雑誌『주간조선〔週刊朝鮮〕』が横田めぐみさんの生存に関する記事を載せたことで、慌ただしい動きが。
日刊紙『朝鮮日報』の発刊元だが、その朝鮮日報電子版によると、次のような内容だという。

北朝鮮当局が2005年に作成した「平壌市民210万名の身上資料」を同社が入手し、分析した。すると、めぐみさんと生年月日(1964年10月5日)が一致する人物が複数おり、その中に、夫の名が金ヨンナムで、めぐみさんと夫とされる人物の姓名と一致する人が一人いた。その女性はハン・ソネ(한선애)という。ハン・ソネは、ピョンヤン市テソン区ミサン3洞に娘と一緒に住んでいる。そして、ハン・ソネと同じ住所に住んでいる女性は金ウンギョンといい、1987年10月25日生まれである。この生年月日は、かつて金ヨンナムが語った娘の誕生日とは1ヵ月あまり差がある。

という、なんともすっきりしないもの。
ひところ日本でもよく報道された金英男が
「自分と日本人拉致被害者との間にできた娘の名はウンギョンだ」
と確かに言ってはいるが、その娘は日本のマスコミのインタビューを受けて「キムヘギョン」と名乗った。その辺からして不可解なのだが、それは措くとして彼女がヘギョンの名で生活しているのなら、なぜ、北の住民データを「ヘギョン」でソートしないのだろうか。『週刊朝鮮』の「分析」にも首をかしげてしまう。

64年10月5日生のピョンヤン市民は90人もいたという報道もあり、「キムヨンナム」というのも朝鮮半島にきわめてありふれた名前だ。今のところ、めぐみさん生存の決め手となる情報とは言い難い。何より、「娘」の生年月日が異なることへの説明がいいかげんだ。

散々気をもたせるような情報に翻弄されてきた横田ご夫妻にはお気の毒なことだが、この曖昧な、中国経由で流出したという「資料」から、拉致問題が解決に向けて大きく動くことは期待しにくいと思う。
現に、朝鮮日報社は、日本からの協力要請に対し、データの閲覧は断ったという。