外国語学習法#2

承前
 前回書いたようなおよそ非日常的・非現実的な語学学習法はさておくとして、現実に可能な範囲では、どんな目標をもって学習すると、より上達が速いだろうか。
受講者に目標・動機を尋ねてみると、やはり「旅行で韓国へ行くので」というのが多い。「韓国・韓国人に興味をもったので」あたりがそれに次ぐだろうか。「在日の友人がいるから」という答えもままある。「字幕なしで韓流ドラマや映画が理解できるようになること」なんて高度なのもある。少数ながら、「自分自身在日なので、祖国の言葉は出来るようになりたい」という人もいた。
一般の市民向けの講座なので、こんなところだが、もっとインテンシブなコースへ来る人の場合「仕事で必要なため」も多いだろう。

さて、私の見るところでは、「学習目標の高さ」と「上達度」にはさして相関関係がない。高い目標を掲げていても一向に伸びない人もいる(そのほうが多いかも)し、目標は控えめなことを言っていても、1度の説明で憶えてしまう人もいる。在日3世で、祖父母の喋る韓国語を幼い時に聞いていたにもかかわらず、成人後10年勉強して入門段階を脱することが出来ない人もいる。

そして、「韓国語学習自体が趣味です」と言う人が、けっこう着実に伸びている。「学習自体が趣味」ということと「目標がない」ということとは、もちろんイコールではないものの、“外国語学習には、目標を明確にすることが大切だ”というしばしば聞かれる考え方は、半分当たっていて、半分ハズレているのではないか。「さほど実用を重視していない」というスタンスで学ぶ人のほうが、むしろ強みを持っていると言っていいかもしれない。