韓国歌謡でリスニング

現在担当している韓国語クラスが、まもなく初級を修了するレベルに達したので、先日土曜日の授業で、初めて聴解に生教材を使ってみた。
生教材といってもいろいろだが、順当なところで、まずは歌を用いようと思ったのだが、さてこのクラスの教材にふさわしい歌となると、次のような条件を満たさなければならない。

・未習の単語があまり出てこない
・発音が崩れていない
・曲のテンポがゆっくりでバラード調。ヒップホップなどとても無理
・ドラマや映画の主題歌などに使われた曲は、すでに知っている学習者がいるだろうから避ける
・とはいえ韓国人でもあまり知らないほどマイナーな曲では学習者側も習って空しいだろう


この5条件をにらんで選んだのはイソラ(이소라)の「私は幸せ(난 행복해)」。
イソラなら、歌唱力には定評があり、しかし日本デビューはしていないようで、いわゆる“韓流”とは一線を画していると言える。「私は幸せ」は、彼女の知名度を一気に高めた、初期の代表作で、よって上記条件を満たすと考えた。
ところが、歌詞のいくつかの語句(全て、このクラスで既習)を伏字にし、書き取り作業化したところ、成績は予想以上によくなかった。
最も優秀な学習者でも半分くらいの穴しか埋められず、すべての穴で間違えた人も2名いた。
イソラの発音、というより、発声に、張りがありすぎるとでもいうか、ちょっと癖があって聞き取りにくい(いわゆる教科書どおりの発音ではない)部分があったことも原因だろう。「発音が崩れていない」という条件は満たすと思って選んだつもりだったのだが…。

これが英語だったらなー。オールディーズなら古びないし、発音的にも大体教科書どおりの発音で歌われている(カーペンターズとかスキータ・デイビスとかサイモン&ガーファンクルとか)。
それなら聴いたことのある曲を使っても、クラスの学習者の間で不公平感は少ないだろうし。

英米圏と朝鮮では音楽の歴史が違うから、“無い物ねだり”なのはわかってて書いてますがね。

とまれ、教える側として、少なからず反省した次第。生教材の導入は慎重にしよう。