オバマ大統領、ノーベル平和賞

ゆうべ遅くに、「オバマ大統領、ノーベル平和賞受賞」のニュースが飛び込んできた。
報道番組のコメンテイターたちは、ほぼ申し合わせたように、「希望を与えたことを評価」「『核無き世界』実現へのエール」「核廃絶で、後退しないように、との牽制」「理想を目指す者の背中を押す意図」などと、要するに今後の平和への貢献に与えられたものだろう、という意見だった。
私も同意見で、選考委員会からの「がんばんなはれ。安易に妥協なんぞして、口先だけで終わったら、一旦与えたもん剥奪しまっせ」というメッセージと受け取った。オバマ本人も、そのへんはよく承知してまっさ、というニュアンスの挨拶をしていた。


しかしそうなると、今回は、100年を越えるノーベル賞の歴史の中で、“これから成す仕事”に賞が与えられた初めてのケースということになるのではないだろうか。
ノーベル平和賞は、
the person who shall have done the most or the best work for fraternity between nations, for ...(以下略)
に与えられる、とされているのだが、shallという助動詞がわざわざ入っている。

http://nobelprize.org/nobel_prizes/peace/articles/lundestad/index.html

英語は素人なので、詳しい方のお目にとまれば御教示いただきたいが、「これこれの仕事を成し遂げた人」なら who has done と、shall抜きで済むと思う。まあ、will でもないので、やっぱり「これから、平和に貢献することになるであろう人」という意味とは思えない。
もとの原文はノルウェー語で、それを英語に置き換えると、イギリス英語の、あの用法の一筋縄でいかない shall が必要だったという事情だろうか。その辺も全く推測の域を出ない。

とまぁ、「これからの貢献」が平和賞に値するかどうかは、机上の文章の吟味によっては「微妙」としか言えないのだが、かといって、別に私は、あの「プラハ演説」の歴史的意義に疑問を持っているわけでもなければ、委員会の選考基準にケチをつけているわけでもない。ただ、「これから、みんなで核兵器をなくしましょう」と呼びかけた、と言うだけで、いかにダントツ世界一の大国の最高権力者の口から出たからとはいえ、前例のなさそうな授賞をして、かえってノーベル賞の値打ちが軽くならないかな?、物理学賞や医学生理学賞など他部門とのバランスはとれるのかな?、とそれがほんのちょっと心配。