北京−上海の高速列車

中国の新幹線(風列車)の営業速度が「時速300キロ」で決着したようだ。
これに関して、中国鉄道省の元幹部が「380キロ実現は、安全設計の限界を無視してでも、試験速度に近いスピードで営業せよ、との命令」があってのみとだった、と打ち明けたという情報が流れている。当局が当初の予定に“ブレーキ”をかけ「300キロで営業」と方針を変えて以降の暴露である。
380キロにこだわった鉄道省トップ(日本で言う大臣)の劉志軍はすでに2月時点で失脚している。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0622&f=national_0622_164.shtmlから、一部を引用する。

手抜きだらけの高速鉄道、作った技術者「恐くて乗れない」=中国11/06/22(水)

 香港紙の苹果日報は21日付で「技術者が乗らない中国の高速鉄道…腐敗横行、温家宝も潔白を示すため右腕を切り落とす」と題する記事を掲載した。人民日報陜西分社の杜峻暁社長が指摘した技術面における問題を改めて紹介し、温家宝首相も“右腕”である秘書2人を処罰せざるをえなかったという、深刻な腐敗問題にも焦点をあてた。
  杜社長によると、中国では高速鉄道の建設に携わった技術者が「自分は絶対に乗らない。親友にも乗らないように勧める」と公言する場合がある。安全面で自信が持てないからだ。

  先進国の高速鉄道では、建設後に地盤の沈降など各種の問題点が出現することが「想定内」であり、開業してもすぐに本格的な高速運転をしない。一定の時間をかけて調整した上で、本来の性能を生かした運転を始める。
  中国の場合、短期集中方式で建設し、開通してすぐに高速運転を始める。しかも、建設は測量・設計・施工を同時に進行させるという、場当たり的な方式で、工期の都合で3種の作業のいずれかに「しわよせ」が及ぶ場合があるという。

  安全問題に輪をかけているのが、汚職の問題だ。だれかが不正に利益を得た分、手抜き工事などで費用を浮かせていると考えるのが自然ということになる。
  最も典型的なのは、中国政府で鉄道建設の責任者である劉志軍・鉄道部部長の汚職による失脚だ。劉前部長は、高速鉄道建設に絡む汚職で、不正に8億元(約99億2600万円)を得たとされる。
  また、中国高速鉄道の父と呼ばれた政府・鉄道部の技術部門トップ張曙光総工程師も2月28日に、汚職の疑いで身柄を拘束された。張容疑者は不正に得た金のうち、同類の事件では過去最高の海外で28億ドル(約2246億円)を預金していたとされる。

  海外の一部報道によると、温家宝首相の“右腕”である秘書2人も高速鉄道建設に絡む汚職に一定の関係があったとみられ、温首相は自分が無関係であることを示すためにも、6月中旬までに処分を認めざるをえなかったという。(編集担当:如月隼人)

【関連記事・情報】
・中国高速鉄道「手抜き工事」…鋼材節約で強度不足(2011/05/31)
高速鉄道の手抜き工事、元請け「監視していなかった」=中国(2011/06/02)

この問題には、どうも「共青団派胡錦濤はこの派閥)」と「太子派(江沢民が親玉)」の勢力争いが絡むらしい。
太子派どもが、無理にでも300キロを超える営業運転を実施して、派閥の宣伝に利用しようと躍起になったというのだ。
アメリカに特許申請した件のも、おそらくこの派生事象だろう。

なんにしても、スピードを少々落としたからといって、安全が保障されるとは思えない。どれほど悪質な手抜きなのか記事だけではわからないが、どうせ暴露されたのは氷山の一角だろう。
私個人は、それでなくても、少なくとも新造路線の和諧号に乗る気はない。