外国語学習#5

ベルばらの作者・池田理代子は47歳にして声楽家になろうと一念発起し、音楽大学に入るのだが、まずそのために必要な外国語としてイタリア語の学習を一から始めたそうだ。
最初の1年間は、辞書を引いても引いても覚えられず、自分はこんなに能力がなかったのかと落ちこんだ、という。ところが2年生あたりから、すっと頭に入るようになってきて、今まで脳を使うことを怠けていたな、と気がついたと述べている。(ノーベル医学生理学賞受賞者・利根川進との対談)

あれほどのいくつもヒット作を生んだ池田理代子氏が「脳を使うのを怠けて」いたかどうかは措くとして、私も、毎日なんらかの外国語と格闘していると、ある時から、この語句や大事だから覚えておこうと心に決めただけで、けっこう頭に残ってくれるようになるものだな、と思うことがある。
他のジャンルの語句(パソコン用語とか、新人タレントの名前とか、へたすると1年前に旅行した街の名さえ)だと、1回くらいでは頭に残らないような年齢になっていても、である。
学習心理学の専門家はどう説明するのか知らないが、実感としては、その語句が発音された時の響きに敏感になる、ということと、蓄えておくべき頭の中の「抽斗」のようなものがしっかり整備されて待ち受けている、といった感じだろうか。
いや、もっと少女趣味的な表現をさせてもらえるなら、言語の女神が、ささやかな努力へのご褒美として、手助けしてくれている、というのが正直な感覚だ。

池田氏もそうだったのだろうか…?