小沢昭一

小沢昭一さんが逝ってしまった。
彼が一人語りをするラジオ番組を、その初期のころ、私は中学生のくせに生意気に楽しんで聴いていた。その頃も晩年も、切り口・語り調子ともに、ほとんど変わらず、若いうちに完成度の高い小沢節を作り上げていたんだな、と感服する。癌で入院されてからは、その「傑作選」を再放送の形でやっていたが、新作を聴くことはもう永久に叶わなくなったか、と思うと大きく気落ちする。
親族でもなければ付き合いのあった人でもない人の死去に接して、私自身が元気を無くすという思いは、手塚治虫さん、筑紫哲也さんのとき以来だなと自分の気落ちに気づき、改めてその存在感の大きさを感じる。
あれほど、マルチなタレント性と エピソードに富んだ芸人は、もう現れないんじゃないかな、と、本当に惜しい。