高山

これまでJR高山本線には5回乗ったが、うち2回は富山―岐阜間の直通列車だった。
高山駅で乗り降りした3回のうち1回目は自転車旅行で、安房峠から駆け下って来て駅に着くや慌ただしく大阪行き急行に輪行した。2回目は途中下車で、1時間ほどの乗り継ぎの間に駅近くで「飛騨そば」を食べただけ。
3回目の今回も、主たる目的地は新穂高方面で、高山には2時間半ばかりの滞在に過ぎなかったが、それでもようやくここで街歩きが出来た。50歳代になって初めて高山を歩く日本人というのも珍しいかもしれない。

聞いてた通りのいい街だ。
萩・津和野と並んで「元祖小京都」などと言われるが、京都とは別個の魅力も感じさせ、あえて都になぞらえたり、その縮小版のように呼ぶ必要はない、高山は高山でええやん、と感じた。
高山祭が、祇園祭に似ていることが、この呼び名に大きく影響しているのかと思うが、街並の姿は宿場街に近いな と印象を持った。
また、京都と大きく違うと実感したのは、和菓子屋の少なさ(笑)。特に小豆餡を使った和菓子を見つけるのに苦労する。廻船で北方の産物が安定供給できた京のようには、商品として発達しなかったのかもしれない。

ごかぼう に代表される駄菓子が有名な高山だが、だからといって駄菓子文化が小豆餡菓子の進出を阻むのが理由、とも考えにくいのだが…。

それはさておき、高山は道で見られる情景がいい。祭の日でもないのに浴衣の女性が何人か連れだって歩いている。宮川に架かる橋ごとに、欄干に何か装飾が施されている。中には、仏壇(?)が取り付けられた欄干もあった! そこには位牌もちゃんと納められている。街の人みんなで(旅行者も?)、近所の物故者の追善をする、という趣旨ででもあるのだろうか?
外国人客が楽しげに行き交う頻度も奈良・京都並みだ。いや、街の規模を考慮して比べればそれ以上だろう。
実は恥ずかしながら、今まで、高山が城下町だということも知らなかった。
その高山で、古い街並みの景観を醜くしている、と以前からダメ出しされていたNTTの鉄塔と、十六銀行の看板が撤去されるらしい。そんなニュースを、自宅に帰ってから知った。
できれば、高山祭の時期に、2日位かけて街並みの細部を見落とさぬようゆっくり周ってみたい。宿をとるのが大変だろうけど。